
西山直司
同窓会会員の皆様には、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。 日頃は同窓会活動にご理解とご協力をいただき、厚く御礼申し上げます。
さて、今年も学生の皆さんが多方面で活躍されています。意見発表では、 分野Ⅰ類・Ⅲ類において県大会最優秀賞を獲得し、東海ブロック大会へ進出しました。私も練習を拝見しましたが、大変しっかりとした内容で、発表も素晴らしく、深く感心いたしました。次世代の農業を担う若者が着実に育っていることを、大変嬉しく思っております。また、農業鑑定競技「野 菜」コースでは全国大会優秀賞を獲得されました。私も学生時代に農業鑑定競技へ参加しました。当時はその意義をさほど実感しておりませんでしたが、広範な農業の学びは後に大いに役立ちました。ぜひ在校生の皆さんには、積極的に取り組んでいただきたいと思います。体育系の部活動では、野球部、陸上競技部、卓球部、ソフトテニス部、剣道部が県大会へ出場を果たしました。各部とも目覚ましい活躍を見せております。母校の栄誉は、同窓生として大変喜ばしいことであり、ひとえに在校生並びに先生方のご努力の賜物と、心より敬意を表します。また今年は、渥美半島観光ビューロー主催の「ヤシの実投流ツアー」に生徒2名が参加し、沖縄県立八重山農林高等学校との交流を行いました。参加した生徒にとって大きな刺激となったことと思います。
今年度は、アントレプレナーシップ教育研究事業の指定を受け、外部講師を招いて課題解決型学習に取り組みました。アントレプレナーシップとは聞き慣れない言葉ですが、AIで調べてみたところ、「entrepreneur(起業家)」と「ship(資質・技能)」を組み合わせた言葉であり、単なる起業家の育成にとどまらず、高い志や倫理観に基づき、失敗を恐れず新たな価値を創造しようとする精神や資質・能力を養う教育のことだそうです。確かに、さまざまな組織や経営の現場において、現状維持の空気が強く、改革や挑戦を避ける傾向が見受けられます。「変わらないことは衰退と同義である」という言葉もあるように、常に挑戦する姿勢は大切です。我々大人こそ受講すべき講座かもしれません。この学びを通じて、次世代の農業者が積極的に挑戦してくれることを心強く思います。
ここで少し、農業を含めた世相について触れたいと思います。昨今、農業資材に限らず物価高騰が続いています。また、金利の上昇により預金に利子が付くようになったことや、金価格の高騰なども話題になっています。何か時代の潮目が変わりつつあると感じている方も多いのではないでしょうか。昨年、著名な経済学者である伊藤元重先生の講演を拝聴する機会がありました。その中で、経済は「鳥の目・虫の目・魚の目」で見ることが大切だとお話しされました。鳥の目は俯瞰、虫の目はミクロの視点。そして魚の目は「潮目」を読む力を指します。潮目を見極めることは容易ではありませんが、感覚的には時代の転換点に差しかかっているように感じます。AIをはじめとする技術革新は社会構造を大きく変える可能性を秘めています。その中で農業の位置づけも、より重要なものへと変わっていくのではないでしょうか。在校生の皆さんには誇りを持ち、それぞれの次のステージへ進んでいただきたいと願っております。
さて、昨年も触れましたが、少子化の問題は依然として厳しい状況にあります。田原市も例外ではなく、令和6年の出生数は287人とのことです。現在の高校生が生まれた2010年は約560人でしたので、15 年ほどでほぼ半減したことになります。人口減少に伴い、高校の在り方も大きな変革が求められるかもしれません。渥美農高は昭和26 年、地域農業者の育成を目的に、当時の渥美郡十一ヶ町村(現在の田原市および豊橋市の一部)の請願によって設立されました。以来、長きにわたり地域農業の発展に貢献してまいりました。今後も日本有数の農業地域を支える農業教育の中心 であり続けなければなりません。そのためには、最先端の農業技術や経営感覚を次世代へ伝えていく必要があります。より積極的に学校外のリソースを活用していくことも求められます。ぜひ同窓生の皆様のお力とお知恵をお貸しいただき、ご尽力賜りますようお願い申し上げます。
私が会長を務めさせていただいて以来、毎年のようにお伝えすることとなり恐縮ですが、50周年記念事業の一環として始まったオランダ王国・ウエラントカレッジとの姉妹校派遣事業は、本年も断念せざるを得ませんでした。実現に向けご尽力いただいた諸先輩方、そして学生の皆さんには大変心苦しく思っております。今後も情報収集に努め、実現に向け鋭意努力してまいります。より良い形についても含め、皆様のお知恵をお借りできれば幸いです。
結びに、同窓生の皆様のますますのご活躍と、渥美農高の彌榮を祈念申し上げ、挨拶とさせていただきます。

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